うつ状態・不安に対する治療のあり方

CHTI022.gif まず、自覚症状、ストレスの原因、性格や経過、家族のことなどを詳しく聞いた後、総合的な判断をして医師が診断を下すことになります。その診断後、それに対する生活面での指導、必要が有れば薬物療法、認知行動療法や対人関係療法などを含めた精神療法が行われます。この時に重要なのは、専門医から一方的に指導するのではなく、ある程度の一般的な提案がされ、それに対して、当事者の意見も聞き、ともに考えていくという姿勢でしょう。この丁寧な作業が、より良い、そして迅速な治療に結びつきます。
その意味でも、主治医との関係は上下関係ではなく、お互いを尊重しながら素直な考えが言える関係が重要になります。医師から「休養をとった方が良いけれども、全てを休んでしまうのは逆に悪化する場合があります」といわれても、すぐにはどうして良いかわからないですよね。具体的にどうすればいいのか、それはお互いを尊重した話し合いが必要です。そんな話が出来る医師を主治医にすることが、うつ状態・不安を解消する第一歩といえます。

うつ病は「こころの風邪」なのか?

huan1.gif この10年間でSSRIなどの抗うつ薬の登場で、製薬会社を中心とした「うつ病に対する啓発活動」が盛んにされました。「なにかする気になれない」という意欲減退、「気分がすっきりと晴れない」という気分の落ち込み(憂うつ気分)、特に朝に落ち込みが強いという気分の日内変動、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠障害、食欲・排泄の変調などの自律神経系異常などが主な症状です。
杏林大学の田島教授は、「厚生労働省の全国患者実態調査でうつ病の診断を受けている推定患者は92万人に達しており、平成11年度調査の40万人から6年間で倍増している。これは製薬会社のマーケティングが大きく影響している」と語っています。
医師が処方する薬物を直接消費者に宣伝することは禁止されていますので、専門的な情報は製薬会社が主導の情報サイトや出版物から得られている方が多いのも仕方がないところといえます。しかし、心の疾患は、個人個人違った事情から起きていたりするので、SSRIを内服して休養していれば、そのうち良くなるというのは安易な考えといえましょう。
その意味では、自分と相性の合う専門医を見つけることが一番大切なことです。

高機能の自閉症と特別支援教育

illust510.PNG 一般の子どもであれば10のうち6か7まで教えれば、残りの8、9、10は教わらなくても会得します。しかし、高機能であっても自閉症の子どもは、目に見えない到達先は推測できません。しかし、10までおしえれば、8、9の部分は容易に納得する。こうした配慮が必要なために用意されたのが特別支援教育にほかなりません。
アスペルガー症候群を含めた高機能広汎性発達障害の児童・青年には、その場の流れが読めないという認知特性が有ります。物事の一つ一つの部分はよくわかるが、それらに共通する特性をとらえて全体を把握する力が弱い。この特性は大人になっても存在しています。だからこそ、子どものうちに学校という社会の中で、特性に注目した対人関係の学びの場が必要なのです。

自閉症(広汎性発達障害)と発達

自閉症の子どもを数年継続的にみていくと、症状としての相互的な社会的関係の異常とか、コミュニケーションの質的異常といっても随分変化してきます。4-5歳になると主治医の姿を見て駆け寄ってくるし、小学生になると、向こうから何らかの言葉掛けをしてきます。中学生になると、オタクの仲間と出かけたりすることもあります。対人的そうご関係の領域やコミュニケーションの領域で起こってくる症状を「障害」と断定するのではなく、対人関係が不器用な子ども、コミュニケーションが不得手な子どもととらえることによって、年齢に応じた指導の手がかりえられます。言語的な活動水準が高いアスペルガー症候群の子どもは、一般の子どもが友達とのかかわりが活発になる中学生から高校生の年齢になると同級生に声をかけるようになりますが、相手の考えの方向性や感情的反応を推測できないため、相手が嫌がることを平気で言ったりすることが目立ってきます。そのため、同級生が無視したりすると、さらに一方的なアプローチをしたり、以前言われたことを思い出して執拗に抗議したりします。いずれにしても、成人ではそれだけ「自閉症」らしさが少なくなってきます。

AD/HDと特別支援教育

CHEX061.gif 特別支援教育の本格的実施に伴って、医学的診断を必要とする子どもが多くなってきています。しかし、医学的診断の際には家族への対応や担任教師の教育的配慮への適切な助言が期待されます。診断名が決まれば学校での適切な教育的対応が可能になるというわけにではありません。確かに日本では情緒障害学級の担任の努力の積み重ねで、重度・中等度の自閉症の教育には優れた成果を得られていますが、その方式でアスペルガー症候群にも功を奏するとは言い切れないし、同じような対応をADHDの子どもに対応すると周囲の生徒との摩擦から、かえって扱いにくい子どもになりかねません。
ある教師が担任をしたときにはスムーズだったのに、別の教師が担任をしてからは手に負えないというエピソードが多いのもADHDの特徴でもあります。ADHDには、ADHDに独特の特性があり、それにあわせた配慮が必要です。具体的にAD/HDの子どもの扱い方のポイントは、「その子どもの言動につられて、教師自身がADHD的に振る舞わないこと」ではないでしょうか。これは意外と難しいというのも確かですが、、。

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)と発達をめぐって

AD/HDについては、診断基準の各項目に「・・がしばしばである」の語句がつけられているように、多動でもないときも多く、ゲームなどは長時間集中して取り組んだりしています。だからこそ、治療として行動療法という治療が有効であるといえます。年齢が高くなるとやたら歩きまわる移動性多動から、授業中椅子に座っていながら消しゴムなど机の上のものをいじったり、椅子をガタガタさせる非移動性多動へと変化していきます。発達障害の症状は固定したものではなく、年齢とともに変化していくのです。
AD/HDは、抑制と自己コントロールにかかわる脳の部位が発達的に障害されているとされていますが、中学2年生頃になると自己コントロールも可能になってきます。こうしてAD/HDの30%の子どもは思春期までにAD/HDとしての診断は不要になってきます。

寝つきを良くする

CHLI060.gif 寝つき前にあつすぎる入浴・4時間前のカフェイン摂取などの刺激を避けてリラックスすることは大切ですが、それだけではありません。

・眠くなってから就床(30分寝つけなかったら床から離れる。床の中で苦しむのを防ぐ
・規則的な起床時間と光の利用(休日でも起床時間は一定にする。寝つき時計を決めるのは朝の日光
・手先・足先を暖かくする(熱を逃がし内部体温を下げて体を休ませる)

意外なことが重要なのです。

不眠とは

CHLI061.gif 日本大学の内山先生らの研究によると、日本全国から無作為抽出の4000人を対象にした調査で成人の21.4%が不眠であると答えたそうです。その原因の第1位は、「ストレス」ではなく、「年齢によるもの」、「運動習慣がない」等のことの方が強い要因でったと報告しています。私たちは、「寝つけない」「眠れない」とそれを恐怖に思うがあまりに「不眠恐怖症」となり、生理的には当然な状態を必要以上に気にしすぎて、「私は不眠だ!」と思っている節があります。
また、眠気が増せば、「寝つきが良くなる」訳ではありません。眠気は、睡眠の深さと長さを大きくさせますが、寝つきは良くしません。これも、誤解している方は多いです。