うつ病と更年期障害のちがいは?

IP08_C08.JPG 更年期障害とは閉経前1-2年前から出現し始める「一般的な診察や検査所見では異常が見つからない自律神経失調症を中心とした不定な症状を訴える状態」のことをいいます。症状としては、ほてり、のぼせ、動悸、異常な発汗、冷えなどの血管運動神経系症状、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘などの消化器系症状、頻尿、排尿時痛、外陰部のかゆみ、不正出血などの泌尿器系生殖器系症状に加え、イライラ感、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、不安、憂うつなどの精神神経系症状と多岐にわたっています。つまり、更年期障害は卵巣機能の低下、失調によって間脳、下垂体の機能亢進を起こし、内分泌・自律神経の失調をきたすもの
うつ病の主症状は精神に起こります。憂鬱な気分、行動や思考の抑制など。悲哀・おっくう・不安・罪責感・決断不能などをともないます。中には不眠・頭重感のような身体的な症状が起こることもあります。
更年期障害が原因でうつ病になることもあります。更年期になって初めて起こる抑うつ状態を、更年期うつ病といいます。
更年期障害は専門の医師にかかることが大切です。ホルモン療法や鎮静薬の投与、精神療法が必要です。

妻のパニック障害とどうつきあえばいいのか?

相談

CHTI037.gif 私の妻は、2ヶ月前から突然の動悸・息苦しさなどのパニック発作が出始めて、心療内科にかかり、「パニック障害」と診断されました。現在、薬を調整中ということでまだ発作が出現するようで、精神的にも不安定です。この病気は、本当に治るのでしょうか?つらがっている妻にどのように接したらいいのでしょうか?

お返事
 パニック障害を発症すると、患者はもちろん家族もその多様な症状に振りまわされ、途方に暮れてしまうことが多いようです。「思い切って環境を変えてあげた方が良いのか」「たくさんの薬を服用して、体に悪くないのか」など気になりだしたらきりがありません。パニック障害とは、本来たいした状況でもないのに脳が誤作動して次々と危険信号を発してしまい動悸などのパニック発作を起こしてしまうという病気なのです。時間がかかる場合もあるのですが、きちんと治すべき疾患の一つです。そのためには、ご家族の協力は不可欠です。
まず、ご家族がして頂きたいものは下記のようなものです。
・パニック障害がどんな病気のなのかきちんと解する
・叱ったり、励ましたりするのは厳禁
・一人で外出できないときは、付き添いをする。できれば診察にも同行する。
・薬で治ることを信じて、薬についてとやかく言わない。
治癒を信じて病気と一緒に闘う
実際にどうして良いかわからないときは、素直に専門家に相談することです。

パニック障害の認知行動療法

薬物療法で発作を抑えることができても、広場恐怖や予期不安が完全に消え去るまで、かなり時間がかかるのが普通です。そんな時、認知行動療法を試してみるのがいいでしょう。認知行動療法は、新たな学習を積み重ねることによって、誤った認知を正しくしてゆくものです。
CHEX064.gif 例えば、電車に乗っているときにパニック発作が起きると、その二つが結びついて頭に刻み込まれます。時と場所を選ばないのがパニック発作ですから、電車に乗ったから起きたわけではないのですが、本人は電車に乗ったからまた発作が起きると、思いこんでしまうわけです。これが誤った認知で、予期不安を引き起こし、電車を避けるという広場恐怖につながります。
ですから、電車に乗るという行為が発作を引き起こすのではないということを学習して、電車=発作という誤った認知を修正しなければいけません。
認知行動療法は、こういった認知の修正に大きな力を発揮します。予期不安や広場恐怖に悩んでいる人は試す価値があります。ただし、やりすぎると、逆効果になることがありますので、できるだけ専門の医師のもとで行うことが大切です。

抑肝散は認知症・境界型パーソナリティ障害に有効!?

CHTI038.gif 抑肝散は中国は明の時代、小児の夜泣きや精神不安に対して、母子同服処方として作られた経緯があります。その後応用範囲が拡大され、小児に限らず「怒り」を主体とする精神症状に用いられてきました。「怒り」は、漢方医学では、五臓の一つである「肝」の陽気の異常亢進ととらえ、抑肝散は文字通りこの肝陽気の異常亢進を抑制し「怒りを治める」というべきものです。

こんな漢方薬が、今、認知症の攻撃性、境界性パーソナリティ障害の怒りに対して有効性が示されています。これは、「怒り」「攻撃性」に対して有効なのであって、原疾患を治すものではありません。しかし、この「怒り」「攻撃性」というものを西洋医学の向精神薬で押さえ込もうとすると眠気・認知機能の障害などの副作用が出てしまい、この症状をコントロールすることは結構難しいものです。そんなときに、抑肝散という漢方薬も選択肢の一つになれば治療も幅が拡がるかもしれません。

パニック障害の薬物療法は安全か?

パニック障害の治療法には「薬物療法」と「認知行動療法」があります。発症初期や急性期には、抗うつ薬・抗不安薬が有効な治療となりますが、慢性期には認知行動療法が有効であるとわかってきています。
CGPH019.gif 「パニック発作」は薬物療法で、ほぼ100%近く抑えることができ、発作がなくなることで予期不安も普通の生活に支障がない程度まで改善されます。薬の使い方は、医師のよって違いはありますが、発症初期や急性期であればSSRI(デプロメール・パキシルなど)などに代表される抗うつ薬を中心にして不安時頓服として抗不安薬(ソラナックス・メイラックスなど)を使うのが一般的です。また、同時に最小限の認知行動療法的カウンセリングも行っていきます。
ここで重要なのは、パニック発作を完全にコントロールし、予期不安・広場恐怖を防止して、日常生活に変化が生まれるまでは、しっかりとした薬物療法をすることです。中途半端な量での薬物療法は、治癒までの期間を延長して遷延化させることもありますので注意です。
薬物投与の終了は、パニック発作・広場恐怖・予期不安などの症状がなくなり、安定した状態が6ヶ月以上続くようになったら、3ヶ月ごとに25%くらいずつ用量を減らしていき、これを繰り返して治療の終了につなげます。再発予防には、それまで行ってきた認知行動療法が効果を発揮します。

SSRIとは?-有効性と副作用-

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors; SSRI)は抗うつ薬の一種。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することでうつ症状の改善を目指す薬。
SSRIとして有名なプロザックはアメリカで最も広く用いられている抗うつ薬であるが、治験が殆んど行なわれていないため、承認申請中ではあるが日本国内における発売は未定である。日本で承認済みなものは、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 、パロキセチン(パキシル) 、セルトラリン(ジェイゾロフト)がある。
illust522.png 従来の抗うつ薬でみられた便秘・口渇などの抗コリン系副作用は少ない内服しやすい比較的新しい薬であるが、内服初期にみられるアクチベーション症候群や薬を急にやめることによるセロトニン中断症候群などの問題もあります。

アクチベーション症候群
 SSRIの投与初期に現れる不安、焦燥感などを特徴とする中枢神経系の有害事象。重症になれば、企死念慮、攻撃性、アカシジア(着座不能症)、躁状態などが現れることがあります。

セロトニン中断症候群
 最も多い症状はめまいで、次に多いのは、知覚異常で、通常、上半身か下肢の近位部にあらわれ、灼熱感、刺痛感、しびれ感、電撃感といったように表現されます。その他、消化器症状では特に嘔気が現れます。疲労感、頭痛、発汗、筋肉痛、神経過敏などの精神症状、不眠や鮮明な夢などの睡眠障害がみられます。また、運動異常としてアカシジア(正座不能)、不安定歩行、口及び舌の運動異常、精神症状として、抑うつ気分、突然の泣き、易興奮性、情緒不安定がよくみられる症状ですが、これらは原疾患であるうつ病の再発としっかり区別する必要があります。
SSRIの中断症状の大半は、中止ないし減量の1~3日以内に発現し、中止後一週間以上経過してから発現することはめったにありません。症状は通常軽度で一過性のものです。
実際にこのような中断症状が起こってしまった場合には、今のところ再投与以外によい方法はありません

パニック障害の治療法とその終焉

パニック障害の療法には薬物療法認知療法行動療法があります。治療の中心は薬物療法です。パニック障害は本来、初期の治療が早く適切であれば、薬物療法を数ヵ月間続けるだけで治ることも多いのですが、早期に病気を認識することは難しいので、予期不安や広場恐怖、うつへと進行してしまい、長期間苦しむ方が多いのです。
上手に治療が進めば、完治まで持って行けます。パニック障害の完治とは、発症前の状態に戻るということ。これは単に、薬を使わずに発作が治まっている、と言うだけでなく、予期不安や広場恐怖も無い状態になります。発作は先行して治まるものですが、予期不安と広場恐怖はかなり長期間付きまといます。しかし、完治をすると、あれに乗れた、そこに行けた、などという意識を持たずに行動しています。あれほど怖かったパニック発作も、いい経験だったと思えるようになるものです。

保育園での保育士へのサポート

illust654.pngのサムネール画像 保育者の抱える問題は多様です。子ども自身の問題や保護者への接し方、保育環境への配慮、地域との関係など、ひとりの保育士の方が対応するには大変な努力が必要になるときもあります。気になる子どもならなおさらです。子どもの発達レベルと障害かどうか、家族の人間関係理解、保護者の育児に対する理解と対応するスキル、共感性など総合的に考えなければなりません。現場にいると様々な雑用もあり、大きな問題があると精神的にパニックになることもあると思います。そんな時に、児童精神科を専門にしている医師はお役に立てると思っています。児童精神科医は、疾患の診断・治療だけでなく、子どもを取り巻く様々な社会的事情を考えてケースワークをしなければなりません。その経験の蓄積が、子どもが保育園に通っている時期にどんなことが重要で将来的に大きな影響が出るかを知っています。
例えば、子どもに発達障害があると思われるのに、保護者がそれをあえて否定してしまい現実から逃避しようとすることは往々にあります。保育士としては「発達障害がありますよ」なんて直接的な発言は出来ませんから、どのように伝えられ良いか悩んでしまいます。私が現在行っている保育園巡回相談では、担任保育士・園長先生・区子ども課主任とともにその子に対するミニ保育カンファレンスを開いて、保護者の心境などをディスカッションしながら、どのように伝えていったらいいのか、具体的に話し合い決定していきます。保育現場でそんな保育の味方になれればと思っています。

正常反応としての「憂うつ」と病的な「うつ状態」の違い

CHTI007.gif 落ち込み方は、人やそのときの状況により様々です。「普通の」憂うつにどまることもあれば、病的なうつ状態に至る事もあります。では、「普通の」憂うつと病的なうつ状態をどこで区別をするのでしょうか?実を言うと、あまりはっきりしたものはありません。実際には連続的なものが多く、どこで線引きをするものかは決まっていません。ただ区別しなければいけないのは、どんな時に専門家に相談したらいいのということです。
区別する基準としては、、うつの程度のひどさ、持続時間の問題社会日常生活にあたえる影響気晴らしをしても回復をしない休日状態睡眠・食欲などに不調仕事の生産性・創造性が急に落ちてしまう等です。
これらに注意して、自分が受診すべきか考えるのも良いかと思います。

不安や抑うつは病気か?

CHTI017.gif 抑欝はとても嫌なものをであり、できることなら、避けたいことですか、残念ながら抑欝が不安と並んで人間にとって宿命的な実存的条件などです。抑欝が「自分の思うようにならない結果」として出てくることが多いですし、普段は、『将来、自分の欲っしていない.よくないことが起きるのでは」と言う気がかりから生じることがほとんどです。ところが、実はそんなに思うようにはいきませんし将来に関しても、絶対の保証はありません。そう考えれば、必ず抑欝や不安に襲われるということです。ですから、人間は生きている限り抑欝と不安から、逃れることはできないのです。面白いことに、不安・抑うつを避けようとする人、否認しようとする人ほど、不安や抑うつにとらわれてしまい、逆に不安とうまく付き合う人ほどそんなに不安・抑欝に苦しまなくてもすむことが知られています。
うつ病が治ると言うことは、抑うつをなくすことではなく 抑うつと上手につきあう、もっと 言うと 抑うつを生かすということです。これは何もうつ病治療だけに限らず、多くの心の病に言えることで、症状をなくすより症状をき生かすことができれば 治癒の方向に向かった事になるのです。