治療内容

まず、はじめに簡易カウンセリングと社会生活面での見立てが行われます。
見立てをした上で、薬物が必要な方に処方をさせていただきます。

ただし、薬物療法だけでなくカウンセリング・心理治療にしても副作用がありますので注意して行っていきます。
同じ悩みや症状を持っていても、ひとりひとり心も体も違いますので、当然治療法も違ってきます。

治療法

疾患だけでなく、男性女性でも治療法が変わってきます。
やはりその時期・その状況で現実的な生活面を視野に入れた治療が必要です。

ただ、精神科医はマジシャンではないので、治療法に絶対はありません。自分に感覚にあった医師と出会うことが一番大切です。

カウンセリングも同様です。
話を聴いてくれたからといって良いアドバイスをくれるわけではありません。
時にはカウンセリングで傷つけられることもありますので興味半分で受けられるのはお勧めしません。

うつ病

うつ病は、非常に多い病気で、米国では女性の 4 人にひとりが、生涯のうちにこの病気になると報告されています。
きちんとした治療を受ければ、必ず短期間で治る病気ですが、問題としては、うつ病の人の半分以上が治療を受けていないということです。

1,症状

 風邪を引いたら、熱が出て、頭が痛くなり、盲腸になったらお腹が痛くなります。人のからだは病気になると何らかの症状が現れてきます。うつ病でもこれと同じようにさまざまな症状が現れるのです。ただし、うつ病が他の病気と違うところは、こころとからだの両方に症状が出ることです。

「憂うつだ」、「悲しい」、「何の希望もない」、「落ち込んでいる」というような感情です。このような症状が午前中にひどく、午後から夕方にかけて改善してくるという“日内変動”があるのもうつ病の特徴の1つです。( 正常反応としての「憂うつ」と病的な「うつ状態」の違いについてはこちらをクリックうつ病と更年期障害のちがいはこちらをクリック

  • 今まで好きだったことにも打ち込めなくなる
  • 新聞を読む、テレビなどを見る気がしなくなる
  • 仕事への意欲が低下する
  • 何をするにもおっくうになる
  • 物事の判断がにぶくなる
  • 自分に自信がなくなる
  • 自分を責める
  • 些細なことから不安に陥りやすい、カッとなりやすい

うつ病の症状は、体にも影響します。例えば、早朝覚醒、食欲低下、月経不順、頭重、肩こりなど。体の不調を感じて、検査を受けても何の異常もない場合は、うつ病の可能性が考えられます。

2,成因

私たちの日常生活にはさまざまなストレスが待ち構えています。
「肉親の突然死」、「別居や離婚」といった悲しい出来事から、「昇進」、「出産」などといった一見喜ばしい出来事でも人によってはストレスになることもあります。そして、これらからうつ病が発症する可能性があります。しかし、うつ病になった原因がはっきりしている場合、比較的治りやすいといわれています。
神経伝達物質の中で、脳からこころに元気を伝える物質が“セロトニン”と“ノルアドレナリン”です。これらは気分や意欲、食欲、記憶などを神経に伝達します。脳内の神経細胞から、セロトニンやノルアドレナリンが放出されると、受け手である神経細胞の受容体に結合して、情報を伝達します。

何らかの理由でこのセロトニンやノルアドレナリンが減ると、気持ちの活性化が伝えられずに憂うつ感などを引き起こしてうつ病になると考えられています。

3,診断

うつ病の診断の中心は問診で、病歴などを聴取してうつ病の原因を探します。
精神科で医師が患者にする質問としては以下のようなものがあります。

  • どんな症状があるのか
  • いつごろから症状が現れてきたか
  • 症状が現れてきてから、今までどのように変化したか
  • 何がきっかけだと思うか
  • 身のまわりで、最近何か大きな変化や事件が起こらなかったか
  • 仕事の内容や人間関係など、日常生活でストレスを感じているか
  • 家族の構成と関係
  • 生まれ育った環境や学歴・職歴
  • どんな性格か
  • ほかの病気にかかっているか
  • のんでいるくすりはあるか
  • 酒、タバコの量は1日どれくらいか  など

4,治療

うつ病は、治療を受ければ必ず治る病気で、適切な治療を早期に行えば、一般的に、6カ月から1年ほどで回復してきます。

治療の基本は、薬物療法と十分な休息をとることです。

薬物療法

現在、うつ病の状態というのは、「脳の神経伝達機能に変調をきたした状態」と考えられています。ですので、この変調を改善するために、抗うつ薬が用いられます。抗うつ薬は、減少している神経伝達物質の量を正常に近い状態に戻します。
重要なことは、医師の処方を守る、ということです。
ただでさえ自分の判断能力が激減する「うつ状態」ですから、処方された薬を勝手に体調が良くないから半分にしよう、とか服用を止めてしまったり、ということは避けましょう。

脳内物質に働きかける薬を飲んでいるのですから、なお更です。

薬を飲んですぐに効果が出るというわけでもありませんので、そこも注意したいポイントです。また、その薬が当人に合うかどうかも、少しの期間飲んでみなければ分からない、ということもあります。医師を信頼し、悩み事と体調をしっかり伝えて治療に当たることが必要となります。

ごくまれにですが、薬が合わない場合、副作用に見舞われるばあいがあります。眠気、吐き気、頭痛、ふるえなどです。その際は遠慮なく医師に伝えましょう。その時は薬を他の薬に切り替えていきます。「うつ病の治療はいつまでするのか」はココをクリック

休養環境を作る

うつ病の患者さんは、もともとまじめで責任感が強い人が多いので、「仕事を休むなんてできない」、「自分が仕事を休んだりしたら、ほかの人に迷惑がかかる」と休養することをためらったり、拒んだりすることがよくあります。

まず、こころとからだをゆっくり休めて、疲れを癒すことが一番の治療であることを理解することが重要です。回復するまでに、ある程度の時間がかかりますが、必ず治りますので、ゆったりとリラックスできるものをみつけ、治療に専念できる環境をつくりましょう。うつ病の患者をもつ家族へののアドバイスはこちらをクリック

自分ではどうにも環境がつくれないなら、医師に相談したり、家族や職場の仲間の協力を求めたり、入院を考えてみてはどうでしょうか。気軽にご相談ください。

子どもの注意欠如・多動症(ADHD)

 AD/HDをもつ子どもの場合、実行機能の低下をはじめとする脳の器質的・機能的障害が背景にあると考えられています。実行機能とは、目の前の状況を把握して認知する力、順序立てて考えをまとめる力、衝動的に反応して行動せずに熟考する力、現在の状況と過去の記憶を照らし合わせて判断する力、実行に移る前に順序立てる力、のことです。この実行機能が障害されているために、多動性や衝動性、不注意が引き起こされると考えられています

1,症状

 AD/HDは、次の3つを中心的な症状とする発達障害です。「 注意欠如・多動症(AD/HD)と発達をめぐって 」はこちらをクリック

  1. 不注意(物事に集中することができず、忘れ物が多い)
  2. 多動性(落ち着きがなく、じっとしていることができない)
  3. 衝動性(思いついた行動を唐突に行う、順番を待てない)

2,分類

症状の現れ方や程度にはかなり個人差があり、大きくは次の3つに分類されます。「 ADHDの診断をするには? 」はこちらをクリック

  1. 混合表現形(不注意、多動性、衝動性の3つがみられる)
  2. 不注意優勢表現形
  3. 多動性・衝動性優勢表現形

3,治療

 AD/HDの治療において、薬物療法は症状をコントロールする上で非常に大きな効果があり、本人の行動や思考、学習能力、対人関係に現実的な変化が現れます。ただし、薬物療法はあくまでも症状を抑えるだけの対症療法ですから、薬を飲んでいるだけで何もしないのではなく、薬の力を借りながら日常生活における適応に向けた努力を支援したり、心理社会的療法に取り組む姿勢が大切です。AD/HDの子どもの行動療法や心理療法などの非薬物療法を進めるうえで薬物療法は非常に有効的に働きます。
トゥレット症などのチック症群と合併がある場合は、中枢神経刺激薬(コンサータ)はチックを悪化させるので、他の薬物治療が選択されることもあります。

4,治療のコツ

 AD/HDの治療では、薬物療法で主症状を軽減させるだけでは十分ではありません。AD/HDの子どもは知能的には正常であっても、症状のために対人関係能力や社会性の部分が成長しにくいことが多いため、AD/HDによる日常生活の困難さや発達の遅れを取り戻す心理社会的治療がとても大切になってきます。AD/HDの子どもにとって、対人関係能力や社会性は放っておいても身についていくというものではなく、意識して身につけるように周囲が支えながら訓練していく必要があります。

神経発達症群(発達障害)

 発達障害の代表的なものとして、知的発達症、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症などがあります。 なお、当院では、発達障害については18歳未満の方に限らせていただいております

発達障害といっても状態像は多様です。また、同じ診断名でも、子どもの個性や、発達の状況や年齢、置かれた環境などによって目に見える症状は異なります。さらに、神経発達症群であっても、その人ごとの人柄があります。神経発達症群ということでひとくくりにするのは間違いでしょう。一人一人のことをしっかり理解しようとすることが大切です。特に、自閉スペクトラム症の場合、その半数ほどは知的障害をもちません。そうした高機能群では今まで一般的にとらえられていた障害というイメージとは一見異なるように見えます。しかし、幼少時からの一貫した指導がないと二次的な問題が大きくなり、知的な能力は高くとも社会適応は難しくなることがあります。神経発達症群の人たちの場合、問題となるリスクを減らしていく意味でも、彼らのよりよい人生を確かなものにする意味でも、早期からの専門的な療育や発達支援が必要です。専門の医療機関で正しき評価・診断し、地域の療育センター・教育センターで専門的な療育や公的な支援・援助を受けていく必要があります。


自閉スペクトラム症ASD

  • 対人的相互交流(対人・情緒的な相互性の障害 、非言語的コミュニケーション行動の障害 、発達水準に相応した仲間関係の構築やごっこ遊びの障害)
  • こだわり行動(興味の偏りと決まりきったパターンへの固執) と感覚過敏
  • 児童期早期に上記の2つの兆候が同時にある場合、自閉スペクトラム症と診断される。
  • 主たる兆候は幼児期に顕著。
  • 人口の1%程度が該当する。
  • 知的障害者の福祉制度の対象とはならない。

限局性学習障害SLD

  • 知的には標準またはそれ以上。
  • 聴覚・視覚の障害はない。
  • 学力の著しい偏り(読み・書き・計算などの一部だけができない)。
  • ADHDと併存している場合、注意集中力や落ち着きがない場合もある。また、不器用な場合もある。
  • 人口の5%程度が該当するというデータもある。
  • 知的障害者の福祉制度の対象とはならない。

注意欠如・多動症ADHD

  • 注意集中が難しい。
  • 多動・落ち着きがない。
  • 衝動的。思いついたら行動に移してしまう。
  • 12歳未満に上記の3つが2つ以上の状況で見られる場合に診断される。
  • 発達的な個性の場合だけでなく、環境条件が悪い場合にも同様の状態像を見せることがある。
  • 薬物療法が著効する場合もある。
  • 学童期で人口の3~7%程度が該当する。男性に多いとされる。
  • 知的障害者の福祉制度の対象とはならない。

発達性協調運動症DCD

  • 運動がとても苦手な子ども達。
  • 運動は手や足をどのように使うか、目と手をどのように動かすかといった複雑な協調運動からできているため、総合的な運動がバランスよくできないケースが多く見られる。 (例えば、舌を動かすことが苦手で、舌足らずな話し方になってしまったり、逆上がりができなかったり、コンパスや分度器が使えない、自転車に乗れない、マットや鉄棒、縄跳びが苦手、リコーダーが吹けないなど、さまざまな分野で問題が起きてしまう)
  • 運動面での不器用さは、自分だけができていない。→コンプレックス
  • 学習面でもマス目に文字が上手く入らない、漢字を書いた時のバランスが悪いなど、目で見て適当な大きさで書くということが難しい。
発達障害の子どもには以上のような子どもが含まれます。能力はあるけれど、集団の中で誤解されやすく、不適応をおこしやすい子どもです。少し変った子どもとみられやすく、親も悩んでいます。周囲の理解がない環境では、上手く適合できない場合が多く出てきます。
神経発達症群の子ども達は、できないことの方が注目されやすく、なぜできないのかと追い詰められやすいと言えます。自己評価を下げないために、長所を探し認めてあげることが大切です。何ができたから長所というのではなく、今やっていることをいかに褒めてあげられるかがキーポイントになります。褒め方のコツは、行動を褒めることと、褒めるタイミングはその最中か直後が有効的です。
また、習得に時間がかかりますが、今できないからといって一生できないという訳ではありません。命令したり、無理に押さえ付けてもできるようにはなりません。全てができるようになることを考えるよりも、子どもにとっては、いかにこれを乗り切ったか、助けてくれる誰かが身近にいるのか、ということの方が重要になります。しかし、全部をやってあげるのではなく、適切な援助だけをしてあげるだけで十分です。

持続性(慢性)運動または音声チック症

 チックとは突発的、急速、反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものをいいます。最近では、脳の機能的障害として遺伝的側面も検討されるようになり、とくに脳内ドーパミン受容体との関連が注目されています。しかしながら、チックは本人が止めようとするとかえって増強したり、ピアノの発表会などの緊張場面で強まることがあるのは確かで、チックは心理状態に影響されやすい疾患でもあります。

1,分類

[1]運動性チック

 顔面のチックはまばたきや、口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動きなどがあります。頸部では頭をねじったり、前屈、あるいは後屈させたり、1回転させるなどです。肩ではぴくっとさせたり、肩をすぼめたりします。手ではぴくっとさせる、くねらせる、手を振るなどです。体幹ではそらせたり、ねじったりします。脚では蹴る動きをしたり、スキップをしたりします。運動性チックの中で、まばたきは日常動作でみられるものであり、多少まばたきが多くても周囲の人間はとくに気にしていません。しかし、周囲の人の目にとまりやすいチックでは、本人も気にするようになります。また、手のチックなどでは、字を書くのが困難になるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

[2]音声チック

 音声チックでは咳払いがもっとも多く、その他単純な音声、複雑な発声、汚言(バカ、死ね、くそババア、卑猥な言葉)などがみられます。咳払いは日常よくみられるものであり、周囲の人間もとくに気にしていないことが多いのですが、甲高い奇声や汚言は、運動性チックよりも周囲の注目を集めてしまいます。そのため、本人がそのことを気にして登校を渋ったり、外出がしにくくなったりすることが問題になります。

[3]トゥーレット症

 チック障害は、症状の持続が4週間以上12カ月未満の一過性チック障害、18歳未満で発症し、12カ月以上持続する慢性チック障害、同様の持続期間でかつ多彩な運動チックと一つまたはそれ以上の音声チックがあるトゥーレット症に分類されています。

2,成因

 チックの発現には、脳の大脳基底核・視床・皮質回路の異常、線条体におけるドパミン活性の低下とそれに続発したドパミンD2受容体の過感受性が関与するといわれ、その基盤には遺伝素因があると推測されます。また、発達過程でドパミン活性が低下すると前述の回路の他、前頭葉の機能的および形態的発達も障害され、情緒や知的行動の問題を引き起こす要因となるともいわれます。ドパミン神経は環境の影響は受けませんが、大脳基底核・視床・皮質回路には環境の影響を受けるセロトニン神経も入ってきており、チックにはセロトニン活性低下とそれを引き起こす環境要因も影響します。なお、ドパミン、セロトニンは行動や情緒面に影響を及ぼす脳の代表的な神経伝達物質です。

3,治療

 治療が必要となるチック症は、チックにより社会的、職業的、または、ほかの重要な領域での機能の著しい障害がひきおこされるというほどのチックのことをいいます。逆に生活にそれほどの支障を来たさないチックは障害とはいわず、治療の対象にはなりません。多くのチック症は一年以内に消失する一過性チック症で、家族や周囲の理解が大切となり、環境調整により軽減、消失することも少なくありません。
ただし多彩な運動性チック、頻回の音声チックが続き、学習や日常生活に著しい支障を来たすようであれば、薬物療法を行います。薬物療法は前述したドパミン活性低下によるドパミン受容体の過感受性およびセロトニン活性低下への対応が中心となります。前者には通常ドパミン受容体遮断薬のハロペリドール、ピモジドがよく使用されていますが、小児期では、ドパミンは、脳とくに前頭葉の発達に重要な役割をはたすことから、できるだけ使用をさけたいものです。使用する場合は、出来るだけ少量を用い、過鎮静に注意を払います。ドパミン受容体遮断薬のうち、前頭葉のドパミン機能低下が少ないといわれるリスペリドンは比較的安全に使用できると思われます。チック症に対するエビデンスのある薬物の中では、効果と副作用のバランスが良いエビリファイがまず使用されることが多いです。また、少量のl-dopa、塩酸クロニジン、強迫性障害が並存している場合は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やイミプラミンを使用することもあります。「チック~治療とその後の経過~」についてはこちらをクリック

子どもの気分障害

児童期の気分障害有病率は0.5~2.5%、思春期・青年期は2.0~8.0%にものぼります。

1,種類と症状

大うつ病性障害(Major Depressive Disorder:MDD)

 子どものうつ病は、大人のうつ病とは少し違った現れ方をします。それは、お腹や頭が痛い、体がだるいといった身体的な不調の訴えであることも多く、「単なる疲れ」「怠け心」「わがまま」と片付けられた結果、こころの中で静かにうつが進行していくこともあります。子どもはまだ成長段階にあり、自分の気持ちというものをうまく客観的に表現できません。そのため、抑うつ感に悩んでいても、大人のようにいかにも抑うつ的にはならず、穏やかな表情をしていたり、少し元気がないかな、いらいらしているな、という程度にしか見えないこともあります。身体症状の訴えと、時として些細なことでイライラするという気分易変性・易怒性が重なることが特徴です。また、児童期は男児が優位に、青年期は女児が優位に多いことが分かっています。発症・悪化要因として、両親の不仲、いじめ、虐待などが研究で分かってきています。

「子どもが起こす不適応は子ども自身に原因があるのではなく、教育や社会のせいだ」とする考えも、時として非行(素行障害:子どものうつ病との合併が多い)や不登校(特に社交不安障害をベースにするもの)などに隠れた子どものうつ病を見逃すことがあります。ただし、病的ではない「受動攻撃型反抗注1)」が、子どものうつ病のように見える場合がありますので、過剰診断することなく、専門医のもとで適切な診察・心理検査を受けましょう。「うちの子はうつ病ではないか」という安易な決めつけは、危険です。

注1)受動攻撃型反抗とは?:自分の意思を無視して過干渉な介入を続ける大人に対して、能動的な怒りの表現をあきらめ、一見その大人の意思を受け入れたごとくに見せながら、実際には一切の努力を放棄(わざと怠けているように示す)し、期待を裏切り続けることで怒りを表現する反抗のことを言います。

持続性抑うつ障害(Persistent Depressive Disorder:以前の気分変調症)

 抑うつ気分イライラが一日中続く日が多く、少なくとも1年以上持続することが特徴です。しばしば児童思春期に発症し、潜行性、慢性の経過をたどります。早期に発症した場合には、遷延化により予後が悪くなることが報告されていますので、早期に寛解を得る治療が必要とされます。

双極性障害(Bipolar Disorder)

気分が過剰に高揚しているかと思うと、些細なことでイライラしていたり、多弁で、さまざまな考えが頭に浮かび、衝動的な行動や落ち着きのなさ(躁病エピソード)があるかと思うと、悲観的で行動がゆっくりとなったり(うつ病エピソード)、頻繁かつ急速に気分が変化する特徴(急速交代型:Rapid Cycler)を示します。小児の双極性障害の多くは、その変化がはっきりとせず、混在している場合(躁うつ混合状態)もあります。そのため、一日の中でも、変化が顕著で、気分の波を把握することが難しいこともあります。神経発達症群(発達障害)のADHDのように見えることがあります。ADHDとの鑑別、もしくはADHDとの合併など様々なケースがあります。海外では、ADHDを「子どもの双極性障害」と過剰診断しているのではないかと議論されています。

重篤気分調節症(Disruptive Mood Disregulation Disorder:DMDD)

周囲からの刺激により、発達段階とは不釣り合いなほどに、かんしゃくを起こしやすく、かんしゃくの間はいらいら怒りが持続的に観察されることを特徴としています。男児に多く見られ、発症は10歳以前から認められます。将来、青年期以降になると「双極性障害(躁うつ病)」ではなく、「うつ病」や「不安障害(特に全般性不安障害GAD)」に移行していく可能性が強いと言われています。間欠性爆発性障害(IED)注2)との鑑別が重要です。

注2) 間欠性爆発性障害(Intermittent Explosive Disorder IED:DSM-5コード:312.34、ICD-10コード:F63.81)
普段は、平常心で対応できていることが多いのですが、些細なことから、感情の爆発、破壊的で衝動制御ができなくなる行動障害です。怒り発作(爆発)は1時間程度続く場合があります。そのときに、自律神経系の亢進も起こり、身体的興奮状態になり発汗・動悸・震えなどを伴います。怒り発作(爆発)は、計画性はありません。行き当たりばったりです。突然出現します。何らかの遺伝が関与していると考えられています。感情を司る扁桃体、および衝動制御を司る前頭前皮質の異常で心因性ではなく脳の機能的疾患と考えている研究者もいます。

2,治療

 「お腹がすごく痛い」「頭がガンガンする」など、子どもが身体の不調を訴えたら、よく話を聞いてあげながらその症状を改善するようにしてあげるのはもちろんですが、症状が続くようなら決して「怠け癖」と片付けるのではなく、子どもの様子や周りの状況をよく観察して、医師などの専門家に相談してください。

AGA(男性型脱毛症)

 成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。一般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられています。抜け毛が進行し、薄毛が目立つようになります。

1,原因

原因物質と考えられています。成長期が短くなることにより、髪の毛が長く太く成長する前に抜けてしまいます。十分に育たない、細い短い髪の毛が多くなると全体として薄毛が目立つようになります。

2,治療

効能・効果が認められている医薬品には下記のものがあります。
のむタイプ:フィナステリド(プロペシア)
頭皮につけるタイプ:塩化カルプロニウム(フロジン液)

3,受診の流れ

電話予約(プロペシアはどれくらいほしいか、プロペシア使用歴などを確認)
記入した問診票(問診票ダウンロードはここをクリック)を当日に持参
予約当日に問診票を提出
診察では簡単な問診(5分間くらい)
診察室でプロペシアを院内処方
診察終了後、受付で会計
(ただし、ストレス性AGAを合併している場合は、心療内科の診察(保険診療)が同時に必要になります)

4,院内処方薬

プロペシア錠1mg (28錠:1箱) 9,500円
プロペシア錠1mg (ボトルタイプ90錠) 25,000円
プロペシア錠1mg (28錠入りを5箱セット) 45,000円
プロペシア錠1mg (ボトルタイプ180錠) 48,000円

プロペシアは少なくとも6ヶ月間は内服しなければ満足度は得られないという結果が出ています。改善効果試験の結果は下記の通りです。

内服1年目:髪のボリュームが増えた(改善)58%、抜け毛が減った(維持)40%、AGAが進行2%
内服2年目:髪のボリュームが増えた(改善)68%、抜け毛が減った(維持)31%、AGAが進行1%
内服3年目:髪のボリュームが増えた(改善)78%、抜け毛が減った(維持)20%、AGAが進行2%

5,治療のコツ

AGAは原因により、2種類に分類されます。

  1. 遺伝性AGA:胸毛などの体毛の濃い人。父親が喫煙の既往がなく、AGAの場合など
  2. ストレス性AGA; ストレスが原因で脱毛を生じる。遺伝性AGAとストレス性AGAを合併することもしばしばある。

いずれも男性ホルモンがDHTに変換されて、脱毛を生じます。 プロペシアが効果的なのは、遺伝性AGA。睾丸で生成されるテストステロンがDHTに変換されるのを防止します。

ストレス性AGAは副腎で生成されるアンドロゲンがDHTに変わるため、プロペシアは効果ないです。
ストレス性AGAの治療はストレス源を断つこと。
ストレス源としてわかっているもの:ニコチン、夜勤、三交代勤務、夜型生活、不眠、過激な運動の継続、 心配症、脱毛を気にするほど、ストレス性AGAは進行します。まずはリラックスが必要。

一般に、遺伝性とストレス性のAGAが併発していることが多く、その場合は、プロペシアの内服だけでなく、不安・ストレスに対しても治療が必要です。そのような場合は、心療内科に相談して、総合的な治療について相談しましょう。

ED(勃起障害)

 EDとは、「勃起機能の低下」を意味する英語Erectile Dysfunctionの略です。専門的には「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足な性交が行えない状態」とされています。つまり、勃起が起こらないケースはもちろんのこと、硬さが不十分、勃起状態が維持できないなど、満足な性交が行えるだけの勃起が得られない状態は、いずれもEDとなります。

1,原因と分類

①器質性ED

  • 加齢に伴うものであれば、特に動脈硬化(血管が硬くなる症状)が原因と考えられます。動脈硬化になると血管が十分に拡がらないばかりか、血液の循環が悪くなります。そのため、陰茎海綿体にも十分な血液が流れ込まず、EDが起こりやすくなります。
  • 糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の人では、血管に大きな負担がかかるために、しばしば動脈硬化が進行していることがあります。そのため、結果としてEDが起こりやすくなります。また、喫煙や過度の飲酒も同様の理由から、EDを引き起こす原因と考えられています。

②心因性ED

精神的なストレスがあると、神経の性的な興奮がうまくペニスに伝わらないために、EDが起こりやすくなります。このEDを心因性EDといい、その原因は実にさまざまです。仕事や夫婦関係など日常生活におけるストレスが原因となることもあれば、性交がたまたまうまくいかなかったことよるトラウマが原因となることもあります。このタイプのEDでは、「また失敗するのではないか」という不安が大きなストレスとなり、EDを悪化させることもしばしばです。

③混合性ED

EDの現状をみると、ストレスだけが原因、あるいは動脈硬化の進行や神経に障害があるだけが原因ということは少なく、どちらの要素も合わさった混合型EDが多いと考えられています。特に、糖尿病や高血圧、外傷などに精神的な要素が加わってEDになっていることが多いといわれています。

2,治療の流れ

電話予約(シアリスはどれくらいほしいか、シアリス使用歴などを確認)
記入した問診票(問診票ダウンロードはここをクリック)を当日に持参
予約当日に問診票を提出
診察では簡単な問診(5分間くらい)
診察室でシリアスを院内処方
診察終了後、受付で会計

3,シアリスの処方・料金

簡単な問診の後、シアリス 10mg錠1錠 1,800円 20mg錠1錠 2,100円(税込) で 1錠から処方します。
シアリスの最大の特徴は服用後36時間とたいへん長く勃起力が持続することです。1回服用したら次の服用は24時間経ったら可能です。(同日に2回服用してはいけません)24時間経ってバイアグラ等、他のED治療薬を服用しても構いません。副作用としては、顔のほてり、鼻づまり、頭痛、消化不良、背部痛、筋肉痛、色覚変化等があります。これら副作用の程度は軽く一時的なものです。

パニック障害

 パニック障害は実は、それほどめずらしい病気ではなく、アメリカでは100人に3人の割合で発症しており、日本でもほぼ同率の患者さんがいると考えられています。今後、パニック障害に対する認識と理解が深まってくれば、患者数はさらに多くなると考えられています。

パニック障害は治療を受けないで放っておくと慢性化する場合がありますが、早めに治療を行えば必ず治る病気です。
決して特別な病気でもありません。

1,症状

パニック障害には「パニック発作」・「予期不安」・「広場恐怖」という3つの特徴的な症候があります。
パニック発作には以下の表のような症状がみられます。
パニック発作ではこれらの症状が何の前ぶれもなく突然起こり、多くの場合10分以内でピークに達し、通常30分以内でおさまります。

  1. 胸がドキドキする
  2. 冷汗をかく
  3. 身体や手足の震え
  4. 呼吸が早くなる、息苦しい
  5. 息が詰まる
  6. 胸の痛みや不快感
  7. 吐き気、腹部の嫌な感じ
  8. めまい、頭が軽くなる、ふらつき
  9. 非現実感、自分が自分でない感じ
  10. おかしくなってしまう、狂うという心配
  11. 死の恐怖
  12. しびれやうずき感
  13. 寒気または、ほてり

予期不安とは、パニック発作を一度経験して、あの恐ろしい発作がまた起きるのではないかという不安感が生じることです。パニック発作にはこの予期不安が必ず伴い、発作を繰り返すごとにこの不安がさらに強くなっていき症状を悪化させていきます。
広場恐怖とは、「広場」を恐がるという意味ではなく、パニック発作を経験した人が“特定の場所や状況”を避けるようになることです。

発作が起きたときにすぐに助けを求められなかったり、逃げ出せないような場所を避けるようになります。
例えば

  • 電車やバス(特に急行など停車間隔の長いもの)
  • 人ごみ
  • 地下道
  • 高速道路、高架橋(車の運転の場合)
  • 美容院、歯科
  • 屋外

などです。

過去にパニック発作の起きた場所で、もう一度そこへ行くと発作が起きるのではないかと思い、このような場所を避けるようになります。

2,治療

パニック障害と診断されたら、完治に向けて治療がすすめられます。薬を使って発作を抑える薬物療法と、カウンセラーが行う精神的な方面での治療になります。根本的な治療は精神療法になります。

薬物療法

パニック障害の治療に使われる薬は、「SSRI」「抗不安薬」「三環系抗うつ薬」「その他」の薬に分けられます。患者それぞれの症状に合わせて処方されますが、最低3ヶ月の服用が必要になります。それで効果が見られても、そこから更に1年~1年半の薬の服用が必要になってきます。「パニック障害の薬物療法は安全か?」はこちらをクリック

認知行動療法

パニック障害は心の病気ですので薬で症状を抑えても、精神的な面を改善しなければ根本的な治療はできません。精神的・心理的な面をクリアして初めてパニック障害を克服したと言えるのです。
認知行動療法とは、恐怖心や不安感を取り除く治療法です。パニック障害の患者は、外出先でのパニック発作を恐れて、広場恐怖を覚える人がほとんどです。一度電車の中でパニック発作を起こしたり、エレベーターの中で発作を起こした経験のある人は、その場所で再び発作が起るのではないかという恐怖感や不安感を抱き、二度と行きたくないと避ける傾向があります。これを回避行動と言います。認知療法はパニック発作と自分の身の回りの状況や体の感覚が、パニック発作を起こすのにどう関係しているのかを理解するところにあります。そしてその回避行動をコントロールするためにはどのようにすればいいのかを自身でしっかりと把握して学ぶことを目的としています。そのコントロールの練習や、回避行動が見られる場所での対処法を習得していきます。自分が不安に思ったり、恐怖を感じる場所でも、うろたえたりせずに安心してその場にいることができるということを目標にし、その場にいても不安を解消できるようになるよう、治療していくものです。「パニック障害の認知行動療法」はこちらをクリック

3,治療のコツ

カフェインは、パニック発作を誘発することがわかっていますので、コーヒーはカフェインが入っていないものを飲むことが大切です。また、アルコール・ニコチンの摂取は直後は良いもののそれが抜けるときに不安が惹起されますので注意が必要です。また、「疲れ」「風邪」「寝不足」はパニック発作を惹起させるリスク因子ですので、そのようなことにならないように日常生活を送ることも治療の大きな柱になります。
パニック障害は自分一人で治せるものではありません。医師と二人三脚するつもりで向き合いましょう。最終的に病気を克服するのは自分ですが、医師やカウンセラーの指示もとても大事です。処方された薬を勝手にやめてしまうと、治療前よりも状態が悪くなる場合があります。完治するまでは、途中で通院をやめるようなことはしないよう、最後までしっかりと、自分は病気を治すんだという意志を強く持って治療に望みましょう。「パニック障害の治療法とその終焉」はこちらをクリック

社会不安障害

他人に悪い評価を受けることや、人目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたすことを、社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)といいます。

この社会不安障害(SAD)は性格の問題ではなく、精神療法や薬物療法によって症状が改善することがある心の病です。ちょっと恥ずかしいと思う場面でも、多くの人は徐々に慣れてきて平常心で振る舞えるようになりますが、社会不安障害(SAD)の人は、恥ずかしいと感じる場面では常に羞恥心や笑い者にされるのではという不安感を覚え、そうした場面に遭遇することへの恐怖心を抱えています。

思春期前から成人早期にかけて発症することが多いこの病気は、慢性的になり、人前に出ることを恐れるようになると、「うつ病」等のさらなる精神疾患の引き金となることもあります。日本国内に推定で約300万人以上の患者さん*がいると言われており、現代社会では多くの患者さんを抱える一般的な病気です。この病気にかかるのは決して特別な人ではなく、現在も海外では多くの患者さんが医療機関での治療を受けています。

1,症状

社会不安障害(SAD)が発生しやすい状況には次のようなものが報告されています。

社会的状況

  • 権威ある人と面談する
  • 人前での行為や会話
  • 知らない人との会話
  • 会議で意見を言う
  • 試験を受ける
  • 誰かを誘おうとする
  • パーティーを主催する

生理的状況

  • 人前でお腹がなる(なりそうになる)
  • 人前でおならが出る(出そうになる)
  • 自宅外でトイレへ行かなければならない

社会不安障害(SAD)では、強い不安症状が自律神経に作用し、さまざまな身体症状を発症することがあります。比較的、頻繁に見られる症状は以下のようなものです。

  • 顔が赤くほてる
  • 脈が速くなり、息苦しくなる
  • 汗をかく
  • 手足、全身、声の震え
  • 吐き気がする
  • 口が渇く
  • トイレが近くなる、または尿が出なくなる
  • めまいがする
  • パニック発作

2,治療

社会不安障害(SAD)の治療法には大きく二つ、薬を用いて治療する「薬物療法」と薬物を用いず心理的に治療する「精神療法」があります。二つの治療法は単独で行われたり、併用して行われます。

薬物療法

SSRI ベンゾジアゼピン系
抗不安薬
β遮断薬
神経細胞間のセロトニンの量のバランスを保つ薬で1年以上の継続的な服用が必要です。第一選択で用いられるケースが多い薬剤です。 即効性が高い薬で頓用として用いられることが多くあります。 高血圧の治療に用いるお薬です。不安を感じる場面が1つか2つに限られているタイプ(非全般型)に頓用で用いることがあります。

精神療法

認知療法 行動療法 森田療法
不安がなぜ発生するのかのメカニズムについて学習し、あやまった認知パターンを修正する訓練を行います。 不安が生まれる状況にあえて飛び込んで、刺激に身を曝す「曝露療法<エクスポージャー>」を行います。 不安を無理に除こうとせず、不安の裏にある、よりよく生きたいという欲望を建設的な行動につなげて、症状へのとらわれから脱するよう援助します。

3,治療のコツ

医療機関での受診を始めた方は症状が少しおさまってくると、「楽になった」「副作用が恐いから」との理由で、自己判断によって薬の服用をやめてしまうことがあります。しかし、こうしたことは病気の回復の妨げとなるばかりか、症状の再発や「うつ病」等のさらなる病気の呼び水となりかねません。医師の指示に従ってきちんと薬を飲むように、周囲の人がサポートをしてあげましょう。
また、周囲の人はSADに悩む患者さんがプレッシャーを感じずに社会生活を送れるように、家族であれば「話を聞いてあげる」「休日の行動を無理強いしない」、学校や会社の友人であれば、「朝礼時等に人前で話をさせない」「食事の同席を強要しない」等、患者さんが負担に感じる状況を作り出さないようにしてあげてください。