破瓜型分裂病様症状を呈した児童期発症の双極性感情障害の2例 児童期における診断の困難さと親へのインフォームド・コンセントに関する検討(掲載:精神医学(0488-1281)43巻6号 Page643-650(2001.06)

<抄録>
12歳女子中学生の2例でいずれも小学校高学年の児童期に意欲の低下と引きこもり,奇異な行動等の症状を呈し,破瓜型分裂病と診断された.神経遮断薬の投与を行ったところ,活動性の低下,希死念慮を伴う迄に気分が落ち込み,抑鬱状態が著明となった.症例1は発症時双極性I型障害に相当し,抗鬱剤投与によって躁鬱混合状態となったが,気分安定剤で完全寛解状態となった.症例2は双極性I型障害急速交代型で,気分安定剤により完全寛解した.児童期に発症する双極性障害は,鬱病相から始まることが多く,言語能力の稚拙さや奇異な行動が目立つ等の理由で超早期発症分裂病や分裂病の前駆症状と誤診され易い.今回の経験から,児童期発症の精神障害の診断や治療,家族へのインフォームド・コンセントには成人とは異なる配慮が必要と思われた