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子どもの気分障害

 児童期の気分障害有病率は0.5〜2.5%、思春期・青年期は2.0〜8.0%にものぼります。


1,種類と症状

大うつ病性障害(Major Depressive Disorder:MDD)

 子どものうつ病は、大人のうつ病とは少し違った現れ方をします。それは、お腹や頭が痛い、体がだるいといった身体的な不調の訴えであることも多く、「単なる疲れ」「怠け心」「わがまま」と片付けられた結果、こころの中で静かにうつが進行していくこともあります。子どもはまだ成長段階にあり、自分の気持ちというものをうまく客観的に表現できません。そのため、抑うつ感に悩んでいても、大人のようにいかにも抑うつ的にはならず、穏やかな表情をしていたり、少し元気がないかな、いらいらしているな、という程度にしか見えないこともあります。身体症状の訴えと、時として些細なことでイライラするという気分易変性・易怒性が重なることが特徴です。また、児童期は男児が優位に、青年期は女児が優位に多いことが分かっています。発症・悪化要因として、両親の不仲、いじめ、虐待などが研究で分かってきています。  

「子どもが起こす不適応は子ども自身に原因があるのではなく、教育や社会のせいだ」とする考えも、時として非行(素行障害:子どものうつ病との合併が多い)や不登校(特に社交不安障害をベースにするもの)などに隠れた子どものうつ病を見逃すことがあります。ただし、病的ではない「受動攻撃型反抗注1)」が、子どものうつ病のように見える場合がありますので、過剰診断することなく、専門医のもとで適切な診察・心理検査を受けましょう。「うちの子はうつ病ではないか」という安易な決めつけは、危険です。

注1)受動攻撃型反抗とは?:自分の意思を無視して過干渉な介入を続ける大人に対して、能動的な怒りの表現をあきらめ、一見その大人の意思を受け入れたごとくに見せながら、実際には一切の努力を放棄(わざと怠けているように示す)し、期待を裏切り続けることで怒りを表現する反抗のことを言います。

持続性抑うつ障害(Persistent Depressive Disorder:以前の気分変調症)

 抑うつ気分イライラが一日中続く日が多く、少なくとも1年以上持続することが特徴です。しばしば児童思春期に発症し、潜行性、慢性の経過をたどります。早期に発症した場合には、遷延化により予後が悪くなることが報告されていますので、早期に寛解を得る治療が必要とされます。

双極性障害(Bipolar Disorder)

 気分が過剰に高揚しているかと思うと、些細なことでイライラしていたり、多弁で、さまざまな考えが頭に浮かび、衝動的な行動や落ち着きのなさ(躁病エピソード)があるかと思うと、悲観的で行動がゆっくりとなったり(うつ病エピソード)、頻繁かつ急速に気分が変化する特徴(急速交代型:Rapid Cycler)を示します。小児の双極性障害の多くは、その変化がはっきりとせず、混在している場合(躁うつ混合状態)もあります。そのため、一日の中でも、変化が顕著で、気分の波を把握することが難しいこともあります。神経発達症群(発達障害)のADHDのように見えることがあります。ADHDとの鑑別、もしくはADHDとの合併など様々なケースがあります。海外では、ADHDを「子どもの双極性障害」と過剰診断しているのではないかと議論されています。

重篤気分調節症(Disruptive Mood Disregulation Disorder:DMDD)

 周囲からの刺激により、発達段階とは不釣り合いなほどに、かんしゃくを起こしやすく、かんしゃくの間はいらいら怒りが持続的に観察されることを特徴としています。男児に多く見られ、発症は10歳以前から認められます。将来、青年期以降になると「双極性障害(躁うつ病)」ではなく、「うつ病」や「不安障害(特に全般性不安障害GAD)」に移行していく可能性が強いと言われています。間欠性爆発性障害(IED)注2)との鑑別が重要です。

注2) 間欠性爆発性障害(Intermittent Explosive Disorder IED:DSM-5コード:312.34、ICD-10コード:F63.81) 普段は、平常心で対応できていることが多いのですが、些細なことから、感情の爆発、破壊的で衝動制御ができなくなる行動障害です。怒り発作(爆発)は1時間程度続く場合があります。そのときに、自律神経系の亢進も起こり、身体的興奮状態になり発汗・動悸・震えなどを伴います。怒り発作(爆発)は、計画性はありません。行き当たりばったりです。突然出現します。何らかの遺伝が関与していると考えられています。感情を司る扁桃体、および衝動制御を司る前頭前皮質の異常で心因性ではなく脳の機能的疾患と考えている研究者もいます。

2,治療

 「お腹がすごく痛い」「頭がガンガンする」など、子どもが身体の不調を訴えたら、よく話を聞いてあげながらその症状を改善するようにしてあげるのはもちろんですが、症状が続くようなら決して「怠け癖」と片付けるのではなく、子どもの様子や周りの状況をよく観察して、医師などの専門家に相談してください。

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